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遺言執行者の選任が必要なケースとは? 選任する方法や手続きを解説

2021年06月01日
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遺言執行者の選任が必要なケースとは? 選任する方法や手続きを解説

長崎市が公表している『令和2年版 長崎市統計年鑑』によると、令和2年に長崎市内で亡くなった方は5185人でした。過去の数字を追ってみると、令和元年は5243人、平成30年は5167人と、例年5000人前後の方が長崎市内で亡くなっていることがわかります。相続は、人の死亡によって開始されますので、毎年、一定数の相続事案が発生していると考えられるでしょう。

自分が亡くなった後、相続人同士で遺産を巡って争うことがないよう、生前に遺言書を作成しようと考える方は少なくありません。適切な内容の遺言書を残しておくことは、相続争いを防止するための有効な手段となります。そして、遺言書を作成する際に重要となるのが、「遺言執行者」を指定するということです。
あらかじめ遺言執行者を指定しておくことで、遺言者が亡くなった後の相続手続きの負担が軽減し、相続人による争いを回避することができることが期待できます。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ぜひとも積極的に検討してみてもらいたい制度のひとつです。

本コラムでは、遺言執行者の選任が必要なケースや選任する方法・手続きについて、ベリーベスト法律事務所 長崎オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言執行者についての基礎知識

遺言執行者は、どのような場合に選任をするべきなのでしょうか。まずは、遺言執行者の基本的な事項について説明します。

  1. (1)遺言執行者とは

    遺言執行者とは、被相続人の遺言の内容を実現するために、相続が開始した後(被相続人が亡くなった後)に必要な手続きを行う人のことをいいます。
    一般的には、遺言書で遺言執行者を指定しておくことが多く、遺言執行者に指定された人は遺言の内容に従って、遺産の換価や分配、相続登記などの手続きを行っていきます。

  2. (2)遺言執行者の選任を検討するべき理由

    遺言の内容に「遺言認知」や「推定相続人の廃除」が含まれているときには、遺言執行者を必ず選任しなければなりません。つまりそれ以外のケースでは、遺言執行者を必ず選任する必要はなく、あくまでも任意で遺言執行者を選任することができるに過ぎません。

    しかし、あらかじめ遺言執行者を選任しておくことで、死後の遺言内容の実現がスムーズになり、残された遺族(相続人)の負担も軽減されると考えられるので、積極的に遺言執行者の選任を検討すべきだといえます。

    たとえば、金融機関での預貯金の払い戻しをする場合には、一般的に相続人全員の戸籍謄本、実印、印鑑証明書などが必要になりますので、相続人が多数いる場合には、準備すべき書類も多くなり非常に手間のかかる手続きです。また、遺言で第三者に遺贈をした場合には、相続人全員が遺贈義務者となり、第三者への移転登記手続きを行わなければなりません。
    相続手続きは、特定の相続人に負担がかかるケースが多くなりますが、遺言執行者が選任されていれば、これらの煩雑な手続きを一任することができますので、相続人の負担なく手続きをスムーズに進めることが可能です。

2、遺言執行者の選任が必ず必要なケース

前述したように、遺言書に「遺言認知」や「推定相続人の廃除」といった遺言事項が含まれているときは、相続人だけで相続を進めることはできません。必ず、遺言執行者の指定または選任が必要となります。

  1. (1)遺言認知

    認知とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもと法律上の親子関係を生じさせる手続きをいいます。女性は、出産の事実によって当然に親子関係が生じますので、認知は男性(父親)と子どもとの間に、法律上の親子関係を生じさせる手続きであるといえます。

    認知については、生前に認知届を提出して行う方法が一般的ですが、遺言によって認知することも可能です。その場合、遺言者が亡くなった後に、認知の手続きを行う遺言執行者の指定が必要になります。

  2. (2)推定相続人の廃除

    相続人の廃除とは、相続人から虐待や侮辱を受けていたなどの理由により、当該相続人の相続権を奪う手続きのことをいいます。つまり、相続人ではなくなるということです。

    遺言書で相続人の廃除の意思を表明したとしても、それだけでは廃除の効果はありません。遺言によって推定相続人の廃除を行うためには、家庭裁判所に対して、遺言執行者が相続人の廃除の申し立てをする必要があります。

3、遺言執行者に与えられている権限

遺言執行者には、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務」(民法1012条1項)が与えられています。その具体的な内容としては、次のようなものが挙げられます。

● 管理処分権
遺言執行者には、相続財産を管理・処分する「管理処分権」が与えられます。つまり、遺言執行者が選任されている場合、相続人の管理処分権は制限されることになります。たとえば、相続人が遺言執行者の同意なく相続財産を処分したとしても、その効力は無効であると考えられています。

遺言執行者は、具体的に次のような対応が可能です。

  • 相続財産の存否を調査した上で、必要に応じて、管理者から相続財産の引き渡しを受ける。
  • 訴訟提起を含めて、遺言執行の妨害を排除する。
  • 遺言の内容によっては、相続財産を売却するなどの換価処分を行う。
  • 不動産登記や動産の引き渡しといった対抗要件を備えるために必要な行為や、預貯金の解約や払い戻しの請求を行う。


● 子どもの認知にかかる手続き
遺言執行者は、被相続人に代わり、市区町村役場に認知届を提出する権限が与えられています。

● 推定相続人の廃除にかかる手続き
遺言執行者は、被相続人に代わり、家庭裁判所に対して推定相続人の廃除の申し立てをする権限が与えられています。

● 遺贈にかかる手続き
民法改正によって、遺言執行者は遺言の内容を実現するために、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有することになりました。
そのため、遺贈を受けることになった方は、相続人ではなく遺言執行者に対して遺贈の履行を請求すれば足り、遺言執行者も他の相続人の協力なくして遺贈義務を履行することができます。

4、遺言執行者の選任方法と手続き

遺言執行者を選任する方法としては、以下のように遺言書で指定する方法と家庭裁判所に選任してもらう方法があります。

  1. (1)遺言書による指定

    被相続人(財産を残す方)が遺言執行者を指定するには、遺言によって行わなければなりません(民法1006条1項)
    ただし、遺言書で遺言執行者に指定したとしても、遺言執行者に指名された人は、就任を拒否することもできます。そのため、指定した方が遺言執行者に就任してもらえるように、遺言書を作成する時点で同意を得ておくか、弁護士などを遺言執行者に選任しておくとよいでしょう。
    なお、誰を遺言執行者に指定してよいかわからないというときには、遺言執行者を制定する権限を第三者に委託することもできます。

  2. (2)家庭裁判所による選任

    遺言執行者が指定されていなかった場合や、指定された方が遺言執行者に就任しなかった場合などには、家庭裁判所に対し遺言執行者選任の申し立てを行うことができます。家庭裁判所に対して申し立てをすることができるのは、相続人、受遺者、相続債権者などの利害関係人です。
    遺言執行者の選任にあたっては、選任の申立時において遺言執行者の候補者を推薦することも可能ですが、裁判所は、申立人の推薦に拘束されることなく遺言執行者を選任することが可能です。

    なお、家庭裁判所によって遺言執行者が選任される要件としては、「遺言の執行が必要であること」が必要になります。そのため、相続分の指定や未成年者後見人の指定など、遺言書の内容がすぐに実現することができ遺言の執行を必要としない場合は、家庭裁判所に申し立てをしたとしても却下されてしまいます。

    このように、家庭裁判所による選任が必要になると、それだけ相続人の負担も増えることになります。そのため、遺言書を作成するときに、遺言執行者の指定も併せて検討するようにしましょう。

5、まとめ

遺言書を作成するときには、その内容によっては、必ず遺言執行者を選任しなければいけません。また、遺言執行者の選任が法律上不要であったとしても、スムーズな相続手続きを実現させるためには、あらかじめ遺言執行者を選任しておいた方がよい場合も多くあります。

遺言執行者を選任する場合、誰を指定するかも慎重に検討することが大切です。遺言の内容次第では、遺言執行者の職務の内容は、多岐にわたることがあります。場合によっては、相続人同士の争いごとに巻き込まれることもあるでしょう。そのため、遺言執行者は相続問題に詳しい弁護士を指定しておくことがおすすめです。弁護士であれば、遺言執行者に確実に就任することができるだけではなく、遺言書の作成段階から依頼することができます。法的に問題のない遺言書を作成できるのはもちろんのこと、生前にしっかりとご自身の思いも伝えておくことができるので安心です。

遺言執行者の選任をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 長崎オフィスに、ぜひご相談ください。相続問題の解決実績が豊富な長崎オフィスの弁護士が、しっかりとお話を伺った上で、遺言書の作成から遺言執行者の指定まで、トータルでサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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