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死亡退職金の受取人は誰? 受け取れる順位の考え方と相続問題

2023年01月24日
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死亡退職金の受取人は誰? 受け取れる順位の考え方と相続問題

退職金制度のある会社では、社員が亡くなった場合には、遺族に対して死亡退職金が支払われることになります。

そして、勤続年数によっては死亡退職金の金額は高額なものとなるため、死亡退職金の扱いをめぐって相続人同士でトラブルになる可能性もあるのです。

本コラムでは、「そもそも死亡退職金は遺産分割の対象となるのか」「死亡退職金は、誰が受け取ることができるのか」など、相続財産に含まれる相続における死亡退職金の扱いについて、ベリーベスト法律事務所 長崎オフィスの弁護士が解説します。

1、死亡退職金の受取人は誰になる?

被相続人の死亡退職金は、誰が受け取ることになるのでしょうか。以下では、死亡退職金の概要とその受取人について説明します。

  1. (1)死亡退職金とは

    死亡退職金とは、被相続人が勤務していた会社から受け取るはずであった退職金(退職手当金)のことをいいます。
    退職金規程のある会社では、社員が会社を退職する際に、勤続年数に応じて退職金が支払われることになります。
    しかし、社員が退職前に亡くなってしまった場合には、亡くなった社員は退職金を受け取れません。
    そのため、遺族に対して、本来亡くなった社員が受け取るはずであった退職金が支払われることになるのです。
    これを、死亡退職金といいます。

    なお、死亡退職金は、会社員が死亡すれば必ず支払われるというものでありません
    支払われるのは、被相続人が勤務していた会社に退職金規程や退職金制度がある場合に限られます。

  2. (2)死亡退職金の受取人

    死亡退職金の受取人は、会社の退職金規程によって受取人が指定されているかどうかによって、異なってきます。

    ① 退職金規程によって受取人が指定されている場合
    死亡退職金は、会社の退職金規程に基づいて支給されるお金です。
    したがって、死亡退職金を誰が受け取るのかについても基本的には、会社の退職金規程にしたがうことになります
    一般的な退職金規程では、労働基準法施行規則42条から45条や労働者災害補償保険法16条の7に基づいて受取人の範囲を定められていることが多いです。
    そのような場合には、死亡退職金の受取人の順位は、以下のようになります。

    • 第1順位:労働者の配偶者(事実婚含む)
    • 第2順位:労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた労働者の子ども、父母、孫、祖父母
    • 第3順位:第2順位に該当しない労働者の子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹



    ② 退職金規程によって受取人の指定がない場合
    退職金規程によって受取人の指定がないという場合には、死亡退職金は、遺産分割の対象になるため、民法の法定相続人の順位にしたがって相続することになります。

    この場合における死亡退職金の受取人の順位は、以下のようになります。

    • 第1順位:子ども
    • 第2順位:父母、祖父母
    • 第3順位:兄弟姉妹
    ※配偶者は常に相続人になることができる

2、死亡退職金は遺産? それとも受け取った人の財産になる?

以下では、死亡退職金が遺産分割の対象となる遺産に含まれるか否かについて、解説します。

  1. (1)死亡退職金は遺産分割の対象になる?

    被相続人が勤務していた会社の退職金規程において、受取人の指定がされている場合には、死亡退職金は、受取人固有の財産となります。
    「受取人固有の財産」ということは、相続財産には含まれないということです。
    そのため、遺産分割を経ることなく受取人とされた遺族は、死亡退職金を受け取ることができるのです。

    他方、退職金規程において受取人の指定がされていない場合には、死亡退職金は遺産分割の対象となる相続財産に含まれることになります。
    このような場合、相続人は、会社に対して法定相続分に応じた死亡退職金を請求することができます

  2. (2)死亡退職金と税金との関係

    退職金規程で死亡退職金の受取人が指定されている場合には、死亡退職金は、受取人固有の財産になるため、相続財産に含まれることはありません。
    しかし、相続財産に含まれないのは、あくまでも遺産分割の場面での話です。
    相続税との関係では、死亡退職金は、「みなし相続財産」として相続税の計算の基礎となる財産に含まれることになります。

    なお、死亡退職金には、非課税枠があります
    死亡退職金の金額が「500万円×法定相続人の数」の範囲内であれば、相続税はかかりません。

3、遺産分割協議の際、死亡退職金を問題に争うことは可能か

以下では、相続人のうちの1人が高額な死亡退職金をもらった場合に、遺産分割でそのことを考慮することができるかどうかについて解説します。

  1. (1)原則として死亡退職金の問題を争うことはできない

    退職金制度を設けている多くの会社では、退職金規程に死亡退職金の受取人を指定していますので、死亡退職金は、受取人固有の権利となります。
    そのため、遺産分割の対象となる相続財産には含まれません。

    したがって、相続人のうちの1人が高額な死亡退職金をもらったとしても、原則として、遺産分割の場面で死亡退職金の問題を争うことはできないのです

  2. (2)例外的に死亡退職金の問題を争うことができるケースとは?

    以下のようなケースでは、例外的に、死亡退職金の問題を争うことができる可能性があります。

    ① 共同相続人間に著しい不公平が生じる場合
    死亡退職金と同様に相続財産に含まれない死亡保険金の事案について、判例には、「原則として相続財産ではない死亡保険金は特別受益の対象にはならないものの、共同相続人間の不公平が到底是認することができないほど著しいものである場合には、例外的に特別受益の持ち戻しの対象になる」と判断したものがあります(最高裁平成16年10月29日決定)。

    この判例は死亡保険金の事案についての判断であるため、死亡退職金の場合にも同様の判断があてはまるとは限りません。
    しかし、共同相続人間に著しい不公平が生じる場合には、死亡退職金についても特別受益の対象となる可能性があるでしょう

    ② 死亡前に退職金を受け取った場合
    被相続人が死亡する前に会社から退職金を受け取っていた場合には、当該退職金は、被相続人が取得したものになるため、相続財産に含まれることになります。
    この場合には、退職金を他の相続財産に含めて、遺産分割を進めていくことになります。

4、弁護士に相談したほうがよいケース

以下のような場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)相続財産となり得る財産が不明なとき

    被相続人と同居していた家族であっても、被相続人のすべての遺産を把握しているわけではないでしょう。
    遺産分割をするためには、被相続人の遺産をすべて明らかにしたうえで行わなければならないため、遺産を把握していない相続人では、「何から手を付ければよいかわからない」ということもあるはずです。

    そのような場合には、弁護士に依頼をすれば、相続財産調査を任せることもできます
    調査をしなかった場合には、後日に新たに遺産が判明した場合にトラブルが生じる可能性があるため、被相続人が亡くなった場合にはお早めに弁護士に相談してください。

  2. (2)相続人の範囲がわからない

    被相続人が遺言書を残さずに死亡した場合には、被相続人の遺産は、被相続人の相続人が相続することになります。
    相続人の範囲については、民法が法定相続人として規定しているため、それにしたがって判断していくことになります。
    被相続人が離婚や再婚を繰り返していたり、疎遠な親族がいたりするという場合には、誰が相続人になるのかがわからないということもあるでしょう。

    相続人の調査は、戸籍謄本などの取得によって行います。
    そのため、相続人の範囲が広いケースでは、取得が必要になる戸籍謄本などの量も膨大になり、非常に大変な作業となるのです。
    しかし、弁護士であれば相続人調査に精通しているため、正確かつ迅速に相続人の範囲を確定させることが可能です

  3. (3)遺産分割でトラブルが生じる可能性がある場合

    被相続人の遺産は、相続人による遺産分割協議によって分割することになります。
    しかし、遺産分割では、相続人同士の利害関係が対立する結果、深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。

    遺産分割に関する問題は、相続に関する知識がなければ適切な解決することは困難です。
    弁護士であれば、相続人の代理人として、遺産分割協議を進めていくことができます。
    また、法的観点から最適な遺産分割方法を提案して、トラブルを防ぎながら話し合いをまとめることもできるのです

5、まとめ

死亡退職金は、退職金規程によって受取人が指定されているかによって、相続における扱いが異なってきます。
被相続人の会社に退職金規程がある場合には、どのような内容になっているか、まずは確認してみましょう。

相続に関して問題が起こった場合、解決するためには、専門家のサポートが不可欠となります。
相続問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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